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悠久の河 周藤彌兵衛翁物語

今から三百六十年ほど昔。災害から村と村人たちを救うために立ち上がった、庄屋の一族がいた。

のどかな村を取り囲むように流れる意宇川。日頃は村の民に幾多の恵みを与える川も、大きな岩山が張り出し、水の流れは曲がりくねり、流れが細くなっている場所があったため、一度大雨に見舞われると、川の流れは濁流となり、村を呑み込んだ。家屋は流され、多くの人命が失われ、村は壊滅寸前となった。

災害におびえる村人たちを目にして、障害をかけて岩山と格闘する決意をした庄屋、周藤彌兵衛。

「村の民の幸せがなければ、庄屋の幸せはない」との思いから、身代をかけて、岩山に挑むこと、実に四十二年。
現代社会にも通じる彌兵衛の願いとは、精神とは、行動力とは・・・。

推薦と提言

深遠な宇宙に浮かぶ、青く輝く「地球」。この惑星の表面は7割が水に覆われており、「水球」と呼ぶほうがふさわしいように思われます。
水は、生命の源です。しかし一度暴れだすと恐ろしい存在です。

この物語は、今から300年ほど昔、洪水の苦しみから人々を救うために56歳で一念発起し、97歳までの42年間、火と鑿で、剣山の硬い岩を切り続け、意宇川の流れを変え、水の氾濫を治め、新田を開発した周藤彌兵衛翁の話です。
物語からは、志を貫く生き方の尊さや自然と人間のかかわり方を学ぶことができます。しかしそれだけではありません。平和の意味を知ることができるのです。それは、この物語が、古代日本の発祥地ともいわれる出雲の国・日吉村(現在の島根県松江市八雲町)を舞台にしていることによります。そこは昔、南方・北方、そして大陸・半島から多くの人々が、それぞれの恐怖から逃れ、荒海に漕ぎ出し、過酷な航海を経てたどり着き、古代「和の文化」を築いた所でした。そこには、縁結びの神として知られる出雲大社が祀られています。
ところが、現在では世界三大核大国(アメリカ・ロシア・中国)の力が均衡する北東アジアにあって、竹島(独島)の帰属など歴史問題の渦中にあります。しかも、国産原子炉第1号炉、普及型の2号炉、世界最新・日本最大出力の3号炉が立ち並ぶ島根原子力発電所があるではありませんか。
この物語は、こうした難問が集中する地で300年前にあったできごとであることから、平和の意味を私たちに鮮明に知らせてくれているといえるのです。
本書の発行日は、2015年9月2日です。9月2日はアメリカ、ロシアなどでは第2次世界大戦の対日戦勝記念日(V-JDay)と呼んでいます(中国では翌日を「抗日戦勝記念日」としている)。2015年のこの日は、「戦後70年」の節目にあたります。この物語は、この日に「悠久の平和」を念じて発行されます。

今、出雲から提言させていただきます。この出雲の物語をより多くの人に読んでいただくことを。
彌兵衛翁は、火を灯して岩を熱くし、もろくなったところに鑿を打ち込んで岩を切ったと伝えられています。翁が開削した切り通しの上流には、火の発祥の神社として知られる熊野大社があります。古代より伝わる、木と木をこすり合わせて起こす神事に用いる火と、翁が灯した火が重なり、時空を超えて、人類の進むべき道筋を照らし続けているかのようです。
現代の火は火薬、ダイナマイトを経て、究極の火・核に至ってます。しかし、火は、核でつくるべきではありません。
ぜひ、この出雲の物語を通して、宇宙と地球について、水と火について、そして人間の営みについてなど、いろいろと考えていただきたいと願っています。

2015年8月15日
人間自然科学研究所理事長 小松昭夫



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作 / 村尾 靖子
絵 / クミタ・リュウ
英訳 / ノビ・キーリ

協力 / 小松 昭夫・交易場 修
発行日 / 2015年9月2日
発行者 / 稲葉 茂勝
発行所 / 株式会社 今人舎
定 価 / \2,500- (税別)




参考
日本水道新聞連載記事
日本水道新聞連載
悠久の河  周藤彌兵衛翁の物語



周藤彌兵衛<漫画・児童文学・小説>
周藤彌兵衛<漫画・児童文学・小説>
漫画 / 小室 幸太郎
児童文学 / 村尾 靖子
小説 / 交易場 修