06年9月24日(日) 中国・南京にて2006南京国際平和フォーラムが開催されました。このフォーラムには、アメリカ、イスラエル、デンマーク、フィリピン、日本、韓国、香港、台湾、中国大陸などの国々及び地域から120名の人々が集まり、講演会やグループ分科討論会が行われました。講演会では小松理事長も「世界の平和は和譲から」という題名で発表しました。分科会では平和へのメッセージを纏めた
「平和宣言」を議論し、最終的にこの「平和宣言」が世界に発信されました。
 
 また、このフォーラムでは、これまで平和事業に大きな貢献をされた人達が表彰されたり、参加者からの平和へのメッセージを掲示する場が提供され、そこに多くの皆さんが心を込めた平和へのメッセージを寄せられたりしました。

当日の会場では、同時通訳(北京から招いた日本語と英語の専門家)や速記が行なわれ、フォーラムの様子や皆さんの発表内容がインターネットを通じて世界へ同時発信されました。

日本からは私どもを含めて20名が参加しました。皆さんが日頃から平和事業に取り込んでおられる姿勢や実績をお聞きして感動し、勇気付けられました。

また、閉会式が終わったあとの25日の夜には、日中両国の音楽演奏者約110名の方々により大型民族音楽交響曲である『平和頌』が合同演奏されました。日本の音楽演奏者が60名も加わった演奏で、大変感動的でした。

なお、 小松理事長のフォーラムでの講演内容は次のとおりです。

小松理事長が講演中の様子

平和環境健康特別区申請
世界平和は「和譲」から
         
―日常生活を和譲の文化に―

                                  財団法人 人間自然科学研究所
                           理事長 小松昭夫

 ご来場の皆様、こんにちは。 私は、日本から参りました「財団法人 人間自然科学研究所」理事長の小松昭夫と申します。この度、朱成山館長と関係者のみなさまのご縁により、このような場を与えていただき、ありがとうございます。我々は先輩より、文化・道路・鉄道など、たくさんの資産を受け継いでいます。負の遺産についても当然引き継ぐ義務と責任があり、今を生きる日本人の一人として貴国に大きな災難を与えたことに対して、心より謝罪申し上げます。

 戦争の実態と原因、そして背景を学ぶことにより、恒久平和につながる具体的な行動をおこす義務と責任があると考えています。それではただいまより、私の意見を述べさせていただきます。

はじめに
 
先進国と言われる米国、西欧、日本は、文明の違いにより、勝敗、健康、環境の価値観の順位に相違があり、相互理解が難しい。さらに、現在は次の3つの危機が複雑に絡まり、展望が開けない現状になっています。

1、「対立」
@世代間の対立 A地域間の対立 B国家間の対立

2、「恐怖」
@核兵器拡散 A化学・微生物兵器の開発 B地球規模の不信感蔓延

3、「人口問題と資源」
@発展途上国の人口爆発 A資源エネルギーの高騰 B先進国の少子高齢化

 特に北東アジアには、日本が深く関わった、激動の歴史の中から生まれた韓国・北朝鮮分断国家が存在します。戦後60年経っても解決の見通しがつかず、最近特に緊張が高まっています。このような状況を打開するには、生命の起源、人類の特性、人間の定義という根源的なところから見直すしかありません。

 東洋・西洋文明の融合から生まれた日本は、敗戦国にも関わらず、戦後、産業基盤を確立、豊かな生活をしてきました。日本が世界に先駆け、韓国、北朝鮮とともに、大国である米国、中国、ロシアの理解を得て、ソフトパワーで、平和への潮流を生み出す時に来ています。

  西欧では二つの大戦から生まれた怨念を、和合に変えるべく、当事国による共同歴史調査研究が行われ、書籍、映像とともに多くの「戦争と平和記念館」が建設されてきました。インターネットの発達と、国家間を跨ぐ大旅行時代を迎え、これらの記念館は、歴史教育文化基地として大きな影響を及ぼしています。

 このような状況下、日本の対戦国だった国では、巨額の資金を投じて、たくさんの記念館が作られてきました。日本では、近・現代史を総合的に考察した施設は造られず、また教育もほとんど行われてきませんでした。このままでは歴史認識の差は開くばかりであり、このような状況で備忘策を労し、表面を取り繕っても本質的な解決にはなりません。本質的な議論ができる人材の生まれる環境の整備からはじめるしかありません。

 先に述べた現状から恒久平和に向かうためには、一番目に平和記念館の建設、二番目に生命科学の視点から環境への取り組み、三番目に真の健康の追求、この三つから具体的な行動を同時に起こす必要があります。

1、恒久平和への一歩
A)平和のシンボル・タワーの建設 
 
首相の靖国神社参拝が政治問題化している最中、島根県で「竹島の日」が制定されました。これが北朝鮮にも影響し、北東アジアの緊張が一気に高まり、日米のハードパワー(軍事力)が急速に増強されましたが、ソフトパワー(調和力)の充実も急ぐべきであります。

  日本の島根県と鳥取県にまたがる中海・宍道湖圏には、戦争末期、海軍航空隊本土決戦基地があり、7000名が配置されていました。中国山脈を隔てた広島に人類最初の原子爆弾が投下され、敗戦が早まり、この地は戦災を免れ、たくさんの命が救われました。

  また、この地には古代から、平和的に日本を作った証として建立された出雲大社があり、「縁結び・和譲」という伝説が伝わっています。これは、「与え合うことから尊敬と平和を生み出すこと」という意味であります。また、この出雲大社は、朝鮮半島との繋がりがあるとの説もあります。2013年には遷宮(大改修工事)が計画されており、同年、全国の神社を総括する伊勢神宮の遷宮も計画されています。

  これにあわせ、この地で平和シンボル・タワーの建設を呼びかけています。これは古代の出雲大社神殿の高さ48mとし、日本との戦争で亡くなった国内外の2300万人、また3000万人とも言われる方々をその中に記録する計画であります。

B)世界写真・映像 戦争と平和記念館
 写真と映像で世界の「戦争と平和記念館」を同じ場所で総合的に学ぶことができれば、戦争と平和に対して大局、具体的な思考が生まれる環境が整います。ユーラシア大陸、朝鮮半島の対岸であるこの地で、定期的に各界の平和会議を開催することにより、北東アジアから平和への流れを生み出すことができます。世界の記念館を写真と映像で観覧できる施設は、世界に先例が無く、想像を超える効果が生まれる可能性が高い。ブロードバンドの普及によって、世界の記念館の展示内容の変化を即座に見ることもでき、また、入場者の反応も共有することができます。

  「世界写真・映像 戦争と平和記念館」は、世界各地の記念館を訪問するきっかけと、記念館同士の縁結びとなり、平和への自立的な動きが期待できます。世界の人々が定期的にこの記念館に集まり、ブロードバンドを使って未来志向で議論を重ねる中から、恒久平和への動きが始まります。このプロセスを世界に広報することは、メディアにとって重要な役割であります。また、スポンサーにとっても、社会有用企業として認められる良い機会を提供することになります。

C)平和碑林公園
 
ここに日本が戦火を交えた土地から樹木を移植、現地の人たちと共同作業で平和公園を作ります。プロジェクトに貢献した人を後世に伝えるため、経歴や写真などを2000年の耐久性がある陶版画に記録、これを石碑にはめ込んだ碑林を造り、建設・運営資金調達を促進します。

2、環境問題への取り組み
 
最初の生命といわれるシアノバクテリア(藍藻・酸素を放出する独立栄養生物)は、太陽エネルギーと水・硫化水素・窒素・微量元素から生まれ、次に酸素を利用する従属微生物が誕生、生命の連鎖と進化が始まったと考えられています。微生物の中には、有害な重金属、ダイオキシンでも無害化するものもいます。

 中海・宍道湖圏は豊富な微生物群が育ちやすい温暖湿潤地帯で、地表は豊富な火山表土に覆われています。しかし、この地域は、近年、酸性雨により生態系が壊され、松林も全滅、また、中海・宍道湖の富栄養化により魚貝類大量死も毎年のように起きています。

 これらのことから、ここは微生物を活用した先進的な自然農法、栽培漁業、下水道処理施設の先端技術開発と技術者の養成にもっとも相応しい地域といえます。

3、健康問題への取り組み
人類は食べ物と環境により、限りなく悪魔にも近づき、神にも近づく生命体であります。戦後、化学肥料、農薬、食糧の商品化、そして近年の酸性雨によって農地と湖沼が疲弊し、免疫力の高い食糧の生産ができなくなりました。先進的な微生物技術を活かし、大地・魚場を蘇生化、主食として最も優れた玄米食に適した米・免疫力の高い野菜、果物、魚貝類を生産する。この原料を使って高機能発酵食品・栄養補助食品の製造もできます。

おわりに
 人類は他の生命体と違い、生まれてから進化する生命体であります。
  依存から自立、そして相互依存段階へすみやかに人類を進化させるために中国の古典は非常に大きな役割を果たすと考えられます。

 当研究所では北京オリンピックまでに日・中・英・韓の4ヶ国語で中国北京の学苑出版社にお願いして「中国古典名言集」を出版することにとなっています。監修は日中韓米の学識経験者にお願いする予定です。

  さらに西欧で発達した哲学・思想、及び21世紀の生命科学を加えることによって新しい知の体系を北東アジアで作り出すことが恒久平和の実現にとって必要不可欠なことだと確信しています。

 理不尽なことの多い社会で、道理を追求するうちに、ヒラメキが起き、仮説が生まれます。

 老子の言葉が今、大きな光を放つときが来ています。「道の追求は一を生じ、一は二を生じ、二は三を生じ、三は万物を生ず」

 ご静聴ありがとうございました。皆様からの意見とご支援を心よりお願い申し上げます。                                                                 (完)

                                                          2006年南京国際平和フォーラム                                                          2006年9月24日


2006南京国際平和フォーラムの様子


平和へのメッセージ 

グループ分科会の様子


日中両国の中国民族音楽による合同演奏会   『平和頌』 


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作成:Yaling Wei